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武闘派法律家の真実ブログ時代の変化を捉える職人・公益性と事実の意見

巨額の損害賠償請求・司法書士や税理士へ余り過ぎた弁護士が襲いかかる時代 否認や非弁の無料鑑定・公認会計士飯田はじめ03-3984-2333このブログは飯田の個人的意見です

司法書士のミスの専門家責任はとても重い損害賠償請求

買代金3500万円と報酬7万8千円の3割が損害賠償額1052万円3400円

司法書士損害賠償 登記義務者の成りすましを看過(過失相殺7割)

司法書士損害賠償 登記義務者の成りすましを看過(過失相殺7割)
http://taxmlcheck.jugem.jp/?eid=1792
国税理士会報 平成27年11月10日号より。

○TAINS判決・裁決紹介
司法書士損害賠償 登記義務者の成りすましを看過(過失相殺7割)
東京地裁平成26年11月17日判決。

厳しいですね。
売買代金3500万円と報酬7万8千円の3割が損害賠償額と認定。

つまり、1052万円3400円です。
買った本人が7割悪いとは言いつつ、これはなんというか。

印鑑登録証明書の印字ずれや、運転免許証にインクにじみがあった。
平成21年東京法務局・東京司法書士会が注意喚起したではないかと。

いや、司法書士って、そこまでの不正登記事案発見義務を負うのですか。
税理士でよかったと、いやしみじみ思いました。

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

 

司法書士へ1052万3400円の限度で損害賠償金の支払義務

家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅不動産弁護士 司法書士の本人確認義務・空 ...

2016/05/10 (Tue)

司法書士の本人確認義務・空飛ぶ力士たち

[司法書士の本人確認義務]
司法書士は登記手続きを本人に代わって代理登記するのが主たる業務ですが、法律は司法書士に「代理人」という概念では説明できない義務-本人確認義務を課しています。
売り主が本人なのかきちんと確認しなさいという義務です。

目の前に売り主がいる、この売り主は、本当に登記簿上の名義人と同一人物なのか、この確認を司法書士に課しているわけです。
個人的には、そんなもの、買主の責任だろう、わずかな手数料しかもらえない司法書士にそこまで義務を課すのかと同情したくなりますが、まあ、お上の意向がそうならやむをえないでしょう。

最近、問題となった判例東京地裁 平成26年11月17日判決(判例時報2247号39頁)があります。不動産を購入した買主が、実は売り主が別人であることを見抜けず、しかし、見抜けなかったのは司法書士の責任だと買主が司法書士を訴えたのです。
判決によれば、
① 司法書士は「売り主」から運転免許証や印鑑登録証明書の登記申請書類の真否確認を含む登記義務者の本人確認を委任された。
② 本件運転免許証にはインクのにじみのようなものがあった。
③ 本件印鑑登録証明書にも印字のずれや消去した文字の残像のようなものがあった。
④ 平成21年に東京法務局及び東京司法書士会がした注意喚起では、偽造された印鑑登録証明書には氏名や住所等の上書きした部分に消去した文字の残像が一部残っているなどと紹介されている。
⑤ 司法書士としては、不審であると思うべきで、「売り主」に、本人であるか否かを証明できる客観的資料の提出をさらに求めるとともに、買主に対しても不審な点があることを伝えて注意喚起をするべき義務があった。
⑥ ところが司法書士は、本件印鑑登録証等に現れた不審な痕跡を看過し運転免許証の顔写真との風貌の一致や生年月日等を確認したのみで本人性の確認を終えている。
⑦ したがって、司法書士には、運転免許証や印鑑登録証明書等の登記申請書類の真否の確認を含む本人の確認を怠った過失があると認められる。

しかし、売り主が本人かどうかなんて、買主の責任で判断すべき事柄で、自分でろくな調査もしないまま、司法書士に責任を負えと言うのは、どっか筋違いかなという気がします。
特にこの事案では、本件不動産を紹介されてから本件登記申請の前日に至るまで「売主」と一度も面会していないし、自らプロに頼んで「売主」の本人性や本件不動産の権利性を裏付ける資料を事前に徴求するということもしていません。
そのため裁判所は、7割の過失相殺をしています。それでも、本件売買契約の代金3500万円及び委任契約の報酬78000円の合計3507万8000円のうち3割に相当する1052万3400円の限度で損害賠償金の支払義務を認めています。

これは、不動産投資一般にいえるけど、いくらサラリーマンでも、専業主婦でも、不動産を購入する以上は、全てのリスクを自己が負担するという意識が求められます。特に信用ある仲介業者を経ての売買ではなく、「口コミ」での紹介物件の売買は、地面師が暗躍している可能性が高いと思ってください。

 

法行為に基づき売買代金相当額等の合計1.4億の損害賠償を求めて提訴

那須法律事務所

2013年6月3日 · 

依頼者の意思能力についての司法書士の確認義務違反が問題となった裁判例です。
(*大変長文となってしまいましたが、興味深い事案のため、投稿します。
専門的な内容になりますので、興味のない方はスルーして下さい(^^))

【当事者・関係者】
A子:統合失調症で複数回の入院歴あり
B男:A子の兄
(司):司法書士(本件訴訟の被告)
X:不動産業者(本件訴訟の原告)

【事案】
(わかりやすくするため一部改変・簡略化しています)。

H17.6、A子、本件土地を亡母の遺言により取得。
同じころ、A子、統合失調症のため入院。

H17.8、B男、(司)の勧めに従い、A子についての後見の申立書作成を(司)に依頼。
医師によりA子について後見相当の診断書が作成される。

H17.9、B男、A子につき成年後見を申立て(後に取下げ)。

H18.2、B男が亡母の遺言につき遺留分減殺請求。A子がB男に対し遺留分の弁償として本件土地を譲渡し、その登記をする旨合意。
同日、(司)の依頼により、(司)の事務所にて、(司)の立会いの下、公証人がその旨の公正証書を作成。

(司)が代理人となって、本件土地につき、A子からB男へ所有権移転登記(以下「本件登記」)の手続がなされる。

H18.7、A子について成年後見開始。

H18.12、B男、Xに本件土地を代金1.3億で売却、売買を原因とする所有権移転登記がなされる。

H19、A子の成年後見人がA子の意思無能力を理由として本件登記とB男→Xの登記の抹消を求めて提訴。

H21、成年後見人の請求を認容する判決がなされ、確定。

Xが(司)に対し、登記申請の委託を受けた際に、A子は意思無能力であったのに、その確認を怠ったとし、不法行為に基づき売買代金相当額等の合計1.4億の損害賠償を求めて提訴。

【判決の内容】
裁判所は、登記申請を委託した時点において、A子は意思無能力ではなかったと認定しつつ、「仮に意思無能力であったとしても」として、次のとおり判断しました(東京地裁H24.6.27)。

a.司法書士は意思能力の有無についての専門家でなく、その職責上、意思能力について専門的な知見を有することが期待されているわけではない。
そうすると、司法書士は、登記申請の委託を受けた場合、依頼者に意思能力がないかどうかについてまで調査確認すべき義務を一般的に負うことはない。
b.もっとも、司法書士が、依頼者が意思能力を有しないのではないかとの疑いを持つ「特段の事情」がある場合には、意思能力について調査確認すべき義務がある。
c.本件では、(司)は、B男にA子について後見開始の申立を勧めたことがあり、また、A子が統合失調症で入院中であることを知っていた。
d.しかしながら、本件登記は公正証書に基づくものであるところ、
①公証人は公証人法施行規則により、(法律行為をする者に)その能力があるかについて疑いがあるときは、関係人に注意をし、その者に必要な説明をさせなければならないとされる、
②本件では公証人はA子の行為能力に疑いを持たなかった、
司法書士は公正証書に基づく登記を依頼された場合、拒否することができないのが原則である。
e.本件登記手続を行った時点でA子は名前を言え、字を書け、内容を理解していたことから、(司)はA子の意思能力に疑問を持たなかった。
f.上記d・eの事情に照らせば、上記「特段の事情」があったといえない。
他に「特段の事情」を基礎づける具体的な事実の主張立証もない。
よって(司)はA子の意思能力について医師に調査確認すべき義務を負わない。

【私見】
以下は私見です。

判決が、司法書士が「特段の事情」のない限り依頼者の意思能力について調査義務を負わないとしたことについては賛成します。
また、公証人が本人の意思を確認して公正証書を作成し、これに基づいて登記の依頼がなされた場合には「特段の事情」を認めるのは困難とすることも一般論としては納得できます。

しかしながら、本件の場合、以下の点で疑問が残ります。

・公証人によるA子の意思確認が不十分だった可能性がありますが(例えば、B男を別室に控えさせるなどしてB男の影響力を排したうえでA子の意思確認が行われたのか等)、もしそうであったとすれば、本件では(司)も同席していたのですから、公証人が「行為能力に疑いを持たなかった」としても、(司)において意思能力のないことを疑うべきであったとして、なお「特段の事情」が認められる余地があるのではないか。

・公証人に依頼したのが(司)であることからすれば、登記の依頼を拒否できない状況を自ら作出したともいえなくもなく(勿論公証人の意思確認というワンクッションを置いてはいますが)、公正証書により登記を依頼されたことをもって直ちに「特段の事情」がないことの根拠とすることは妥当ではないのではないか。

・(司)が、B男にA子について後見開始の申立を勧めていたこと、(時期は異なりますが)医師が後見相当の診断書を作成したことを認識していたこと、統合失調症の病歴があることを認識していたことからすれば、「名前を言え、字が書け、内容を理解していた」というだけで、(司)が意思能力に疑問を持たなかったことを直ちに是認してよいのか。

これらの点についてX側からさらに主張立証がなされれば異なる判断もあり得たのではないでしょうか。

《今後に向けて》
このような裁判例は、公正証書による登記の依頼を受けたときは、司法書士には依頼者の意思能力を調査すべき「特段の事情」は認められない、と読まれてしまいがちのように思われます。

しかし、司法書士が公正証書の作成をセッティングした場合や、公証人の意思確認の方法が不十分であることを司法書士が認識していたような場合には、公正証書にて登記の依頼を受けたとしても、意思能力の調査義務を免れることができないとされる場合があると考えます。

さらに、後見の分野に関わることの多い司法書士については、意思能力の確認方法について一定程度の知見を有している(ことが期待されている)とされ、依頼者の意思能力の調査義務を負うと認定される可能性がより高くなることも考えられるところです。

司法書士だけでなく、他の士業(特に後見の分野に関わる士業)にとっても注意が必要ではないかと考えます。

 

福住コンクリート工業事件・大阪高裁判決―濫用的会社分割による労働 ...

福住コンクリート工業事件・大阪高裁判決―濫用的会社分割による労働組合潰しについて元代表者の責任に加え関与した司法書士の責任 を認める

2016年01月15日

弁護士 谷  真介

1 事案の概要

本件は、会社分割制度を濫用した新しい形の偽装事業閉鎖・解雇の事案である。
福住コンクリート工業株式会社(以下「旧福住」という)は、生コンの製造・運搬を業とする会社で、代表取締役を務めるN氏一家の同族企業であった。その運搬部門につとめる運転手5名が建交労関西支部の組合員であった。

平成21年6月、旧福住は組合に対し、減給や解雇等を含む重大な合理化提案を行った。これに対し、組合は徹底して団体交渉を求め、不誠実団交で大阪府労委に救済申立を行う事態にまで発展した。すると、かかる救済申立手続き中の平成22年12月、旧福住は、突如組合員らに対し、同社の代表取締役をN氏から第三者に変更した旨と、組合事務所の変更を通知してきた。組合が旧福住の商業登記を調べると、同年11月に旧福住は、資本金わずか10万円で宝永産業株式会社(以下「宝永」という)なる新会社を新設する形で新福住と宝永という二つの会社に会社分割(新設分割)をしていたことが判明した(旧福住は、製造部門を宝永に引き継がせ、組合員はすべて運送部門として新福住に残した)。

その後、組合は新福住や宝永に団交を求めたが、両者ともにこれを拒否する事態となった。するとさらに、会社分割からわずか4か月後に、組合員のみを残した新福住が突如事業を閉鎖し、組合員ら全員を事実上解雇した。直後にN氏は暴力団風の人物を複数雇って、組合員が占有する組合事務所から実力で排除しようとする異常な状態となった。

組合は大阪府労委に新福住と宝永を相手方として救済申立を行い、さらに裁判所に対しても、組合員ら5名(後に1名脱退して4名)が法人格否認により両社に対する地位確認、また組合員らと組合がN氏や会社分割登記を行った司法書士らに対する共同不法行為に基づく損害賠償を求める訴訟を提訴した。

なお、審理の途中で、新福住だけでなく結局宝永も事業を閉鎖することなり、両社に対する地位確認請求や賃金請求は意味がなくなったため、事案を整理する意味で和解することとなった(実質的には意味なし)。その後の裁判での焦点は、N氏と司法書士の個人責任が認められるかどうかという点に絞られたが、さらにその後N氏が自己破産を申立てたため、組合員らが救済されるには司法書士の責任が認められることが必須という状況になった。

2 会社分割制度の問題点

会社分割制度は、平成12年の商法改正で設けられた比較的新しい事業再編制度である。分割会社の事業の一部を承継会社に承継させ、その対価として承継会社(新設会社または吸収会社)が発行した株式の引き当てを分割会社が受けるのが一般である。会社分割の手続は比較的簡便で、株式の引き当てを受けるだけで、承継会社が事業譲渡の対価を現実的に拠出せずとも良いため、本来の用途である分社化というよりも、簡便に事業譲渡ができる手段として、広く利用されている。

会社法上、会社分割に伴って会社債権者が分割会社から承継会社に免責的に承継される場合には債権者保護手続き整備されている。分割会社から承継会社に承継される労働者・労働組合に対しても、使用者が替わることになるため、同じく平成12年に成立した労働契約承継法において、詳細な保護手続きが定められている。しかし、分割会社に残される債権者や労働者には、上記のような保護手続きは存在しなかった。これは、建前上、分割会社は承継会社の発行した株式の引き当てを受けるため、帳簿上の分割会社の資産にマイナスはないからである。しかし、ここに制度上の抜け穴(欠陥)があり、分割会社が事業を譲渡する代わりに承継会社の株式の引き当てを受けたとしても、承継会社が閉鎖会社(株式の譲渡に取締役会等の承認を必要とする会社)で株式が流通しえない場合や、全く形だけの新設会社の場合には、実際には承継会社の株式に何の価値もない。そのため、非採算部門のみを分割会社に残して採算部門を承継会社に承継させた場合であっても、分割会社に残された債権者や労働者には何らの手続き上の保護も受けないまま、自らの会社が非採算部門のみになることを甘受しなければならなくなるという重大な問題が生じる。この抜け穴を濫用して、非採算部門のみを分割会社に残し、採算部門のみを譲渡した承継会社だけ生き残らせ、分割会社(非採算部門)に残した会社債権者・労働者が路頭に迷うという、濫用的・詐害的な会社分割が横行していた。このような法制度上の欠陥を見直すべく、平成26年6月27日に会社法が一部改正され(平成27年5月1日施行)、残存債権者を詐害する濫用的会社分割の場合には、残存債権者は承継会社に対しても直接請求ができる制度が新設された。

本件はこのような会社分割制度の法制度上の欠陥を利用して労働組合潰しを行った不当労働行為事案であり、従来あった佐野南海・第一交通事件のような偽装解散・解雇が会社分割制度を悪用して行われたものである。

3 N氏の責任のみを認めた地裁判決と指南・関与した司法書士の責任まで認めた高裁判決

平成27年3月31日の大阪地裁判決(中嶌崇裁判官)は、N氏が会社分割を悪用して組合を壊滅させようとしたことを認定し、組合員4名及び組合に対する合計約1000万円の損害賠償請求を認容した。しかし、関与した司法書士に対する請求は、N氏の意図を認識していたとはいえず、また容易に認識し得たともいえないとして棄却した。N氏も司法書士も会社分割の悪用の事実を全面的に否定・証言していたため、N氏の責任を認めさせるのが精一杯、という内容の判決であった。

これに対し、N氏はすでに破産していたため(配当は雀の涙ほどであった)控訴しなかったが、組合及び組合員らはこれでは実質的な救済にならないとして控訴。高裁では、組合側は司法書士に少なくとも過失責任が認められるべきだという主張(司法書士には専門家として高度の注意義務が課されており、労働者の権利を違法に侵害する疑いがある場合には、会社分割登記を依頼されてもこれを拒否して関与を避ける義務があった)を強調し展開した。

平成27年12月11日の大阪高裁判決(佐村浩之裁判長)は、

司法書士が会社分割に関する豊富な経験を有していたこと、

会社分割登記だけでなく会社分割による財産関係をも把握していたこと、

組合との合理化に絡むトラブルが会社分割の原因であることを認識していたこと、

N氏に新福住の社長を紹介したこと、組合員がすべて新福住に残ることを知っていたこと、

会社分割無効の訴えの期間制限についてN氏に回答したこと等の間接事実を認定し、

そこから司法書士がN氏と共謀して故意で会社分割・組合潰しを示唆したことを認定。過失どころか故意の責任(共同不法行為責任)を認め、司法書士に合計約1000万円の損害賠償を命じたのである。

4 本件の意義

本件は、会社法の分野においても制度の欠陥が指摘され分割会社に残された会社債権者からの詐害行為取消訴訟が頻発するなど問題の多い会社分割制度を利用し、分割会社に組合員を残して分割会社のみ事業閉鎖をし組合員を解雇して組合を壊滅させることにより、従来なされていた偽装閉鎖・解雇と同様の目的を達成する新手の手法に対して、首謀した元代表者N氏の不法行為責任に加えて、これに指南・関与した司法書士の責任まで認められた判決であり、先例的にも意義がある。会社分割制度の問題点について、労働者保護の側面からも警鐘をならすものであり、平成27年5月1日に改正施行された改正会社法でもその点の配慮はなされておらず、この事件をきっかけに立法的解決が必要である。

弁護団は、徳井義幸、谷真介、喜田崇之)