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巨額の損害賠償請求・司法書士や税理士へ余り過ぎた弁護士が襲いかかる時代 否認や非弁の無料鑑定・公認会計士資格 飯田はじめ03-6265-6349このブログは飯田の個人的意見です

司法書士が登記の本人確認でミス・運転免許証の有効期限を誕生日の1月後を見し逃し・4250万円損害賠償請求・・・重すぎ懲戒処分に

 

 

司法書士はとても重い専門家責任を負っている。

司法書士が登記の本人確認でミス・運転免許証の有効期限を誕生日の1月後を見し逃し・4250万円損害賠償請求・・・重すぎ

司法書士へ損害賠償請求4,751万2,500円

約4250万円の損害賠償が命じられ

不動産取引の際の本人確認に当たり過失があったとして司法書士の責任を認めた事例

2015年03月01日テーマ: 

民事訴訟判例タイムズ1408号で紹介された事例です(東京地裁平成24年12月18日判決)。本件は、不動産取引に当たって、所有者の替え玉である者の本人確認を怠ったとして、司法書士に対して損害賠償請求が提起されたという事案です。本件で特徴的なのは、替え玉が「権利証(登記済み証)を喪失した」と申し立てたため、司法書士不動産登記法に基づく本人確認提供情報制度により本人確認したという点です。

不動産登記法が平成16年に改正され、それ以前は権利症を紛失した場合には、登記義務者(本件でいえば真の所有者)に対して登記申請があったことをはがきで通知し、登記義務者が登記官に対し間違いない旨の申出をすることにより初めて登記申請が受理されるという保証書という制度がありましたが、法改正により、保証書制度は廃止され、事前通知制度という保証書制度よりもさらに厳格な手続(現住所のほかに前住所にも本人限定受取郵便で通知がされた上に、受け取った者が実印を押印して返送する)が創設された一方で、司法書士や公証人などの有資格者が本人確認を行った上で登記官に対しその旨の情報提供をして登記官が相当と認めたときは登記がされるという新たな制度も加わりました。

後者の方が早く、圧倒的に便利ですので、権利証を紛失したという場合に不動産取引をするのであれば、普通はこちらの手続を利用します。私も、会社の清算人として不動産を売却するに際し、会社の前代表者が故人となっており(そのため私が清算人ということになったものです)、権利証が見当たらず困りましたが、この制度を利用してきちんと売却することができたことがあります。その際、司法書士が決済日よりも前に私の事務所まで来て、運転免許証の確認のほか、権利証紛失の経緯(もちろん私は知らないのですが)などを結構詳しく聞かれたように思います。

ちなみに、破産管財人や後見人の居住用不動産処分、相続財産管理人としての不動産の処分など、裁判所が許可書を出してくれるケースでは、権利証がなくても大丈夫で、弁護士が不動産を処分するケースというのは多くがこのような裁判所からの許可を得てから行うものですので、権利証の有無というのはあまり気にしないことが多いのですが、会社の清算人とか後見人の非居住用不動産の処分などでは権利証が必要となってしまうので、あとから気付いてあわてることもあります。

本件で、司法書士は、運転免許証の提示を受け、その記載事項などを一応確認したものの、例によってこの免許証が偽造されたもので、その有効期間が住民票や印鑑証明書(これらも偽造でした)に記載された生年月日と矛盾していたのに気が付かなかった点に過失があると判断されました。

具体的には、住民票等の生年月日は昭和10年「5月23日と」なっており、免許証の生年月日も同年月日となっていましたが、免許証の有効期限は、生年月日の1か月先である「6月23日」となっていなければならないのに、この点を看過したのは司法書士としての注意義務に反しているとされました。

免許証の有効期限など気にも留めないような気もするので、少し酷なような気もするのですが、免許証の有効期限については道交法92条の2第1項に明記されており、不動産登記法に規定されている本人確認情報提供制度により本人確認を行うことが求められている重い責任を背負っている司法書士(前提として、本人確認情報提供制度については、司法書士など直接本人確認する者が慎重に確認することがこの制度の適正な運用にかかっているのだから、本人確認を行う者には高度な注意義務が課されているとされています)としては当然知っておくべき知識であり、自分が免許を持っていないから知らなかったという弁解は通じないとされました。

また、本件では、委任状などに押印された印影と偽造された印鑑証明書の印影が異なっていたということもあり、個人的には、この点一本でもアウトのような気はします。

本件で司法書士に対し約4250万円の損害賠償が命じられています。

本件は控訴されているということです。

弁護士は、その職務上、単発の取引の手続を代理するというようなことはなく、訴訟などのように継続して業務を行うことが多いので、あまり、本人確認ということが重要となる場面は多くありませんが、たまに「取引に立ち会ってくれ」というような依頼があることもないではなく(私はそういう依頼は引き受けませんが)、それまで一面識もないような人の取引に立ち会うようなことをしてしまった場合には、本件と似たような問題が発生することもあるかもしれません。

 

伊藤博之事務所ブログ秋田県能代市司法書士行政書士伊藤博之です。その活動を綴ります。20150326『司法書士の懲戒処分事例に震える』の巻

http://office-ito.hatenablog.com/entry/2015/03/26/205803

今回の3月号の懲戒処分事例の3番目に掲載されていた事例については、

かなり驚きました。毎回、そんなに驚くようなことはないのです。司法書士にも全国には悪い人もいるものだなぁ、程度でいつも読んでいるわけですが。

 事例としては、不動産の売主の偽者(なりすまし)が現れ、偽造された運転免許証で本人確認をし、印鑑証明書と違ったハンコに司法書士が気づかずに、

登記申請をしてしまった事例です。処分は1か月の業務停止です。かなり重い処分だと思います。偽者が提示した偽造運転免許証について、被処分者である司法書士は、有効期間が誕生日から1か月経過する日であるべきところ、

誕生日となっていたことに気づかなかった、とあります。 「普通、気づかないだろ~」と思わなくもありません。私も改めて、自分の運転免許証を見て、誕生日から1か月後の有効期間となっているのを確認しました。はたしてこれに気づけたか…また被処分者である司法書士は、ハンコと印鑑証明書を照合したが印影の枠の太さ及び印影の文字の形状が相違していることに気づかなかった、ともあります。たまに同じハンコでも朱肉のつき具合で、違うように見えることもありますので、この処分事例においても、同じハンコ(押印の印影と印鑑証明書の印影を同一)だとして処理してしまった、という感じでしょうか。

 ここにおいては、司法書士たるもの、印影の文字の形状が相違しているのであれば気づくべきだったのでしょう。

それでも登記が完了しているということは、法務局の登記官でさえハンコの相違に気づかなかったということです。

 この事例を読むと、はたしてこの事例とまったく同じ状況に遭遇した場合、どれほどの司法書士が、この登記を回避できたのか?

 想像するに、かなりの割合でだまされたのではないだろうか…

試験委員までされた方がショックで司法書士登録なく廃業された様子です。

平成22年度司法書士試験の試験委員が発表されていました。
 以下が、平成22年度司法書士試験の試験委員です。

司法書士) 遠藤 恵子

 

 

 

 

3割に相当する 1052万3400円の限度で損害賠償金の支払義務

⒂−司法書士の本人確認義務−

司法書士が登記義務者の本人確認義務を怠り成りす ましを看過したこと ...

 

司法書士登記義務者の本人確認義務を怠り成りすましを看過したことにつき過失相殺の上で債務不履行による損害賠償義務を認めた事例 (東京地判 平26・11・17 判例時報2247-39) 松木 美鳥

 

所有権移転登記手続きを委任された司法書士が、当該売主が真の所有者でないことを見抜けず、買主に注意喚起する義務を怠ったことで損害を被ったとして、買主が司法書士に 対し損害賠償を請求した事案において、

書類に関し明白な疑義があり、その一部は司法書士会等から注意喚起されていたことを踏まえ、司法書士の委任契約上の債務不履行責任を認めた一方で、本来相手方の本人確認を行うのは買主の責務であるにもかかわらず買主はこれを怠っていたとして、

認定された損害 額の7割を過失相殺した上で買主の請求を認容した事例(東京地裁 平成26年11月17日判 決 一部認容 判例時報2247号39頁)

 1  事案の概要

本件は、買主X(原告)において、同人が 土地建物の所有権を有するとする売主から買い受けるにあたり、その登記申請を司法書士であるY(被告)に委任し、売主が真正な所有者で前記登記が問題なくなされるものと信じて売買代金等を支払ったが、実際には売主Aは所有者の名をかたった無権利者であって、提出された印鑑登録証明書や提示された運転免許証が偽造されたものであることをY が見過ごすなどしたために損害を被ったと主張して、

委任契約の債務不履行に基づき、前記代金相当額やYらに対する報酬などの合計 4307万8000円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成25年4月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金 の支払を求めた事案である。

 

2  判決の要旨

裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を一部認容した。

 ⑴ 過失による債務不履行 YはXから運転免許証や印鑑登録証明書等の登記申請書類の真否確認を含む登記義務者の本人確認を委任された。

本件運転免許証にはインクのにじみのよう なものが、本件印鑑登録証明書にも印字のずれや消去した文字の残像のようなものがあったこと、平成21年に東京法務局及び東京司法書士会がした注意喚起では、偽造された印鑑 登録証明書には氏名や住所等の上書きした部分に消去した文字の残像が一部残っているな どと紹介されていることからすれば、

Yとしては、前記不審な痕跡自体や前記注意喚起で得た不正登記事案についての司法書士としての知識に照らし、

本件運転免許証及び本件印鑑登録証明書の痕跡が不審であるとして自称 Aに確認を求め、これらが真正なものであるか否か、ひいてはこれらを所持する自称Aが A本人であるか否かを証明できる客観的資料の提出をさらに求めるとともに、Xに対して も不審な点があることを伝えて注意喚起をするべき義務があったというべきである。

しかるところ、Yは、本件印鑑登録証等に現れた不審な痕跡を看過し運転免許証の顔写真との風貌の一致や生年月日等を確認したのみで本人性の確認を終えたというのであるから、

Yには、運転免許証や印鑑登録証明書等 の登記申請書類の真否の確認を含む本人の確認を怠った過失があると認められる。

 

⑵ 過失相殺について本件では、XはYに対して売主の本人性の確認も委任しているものの、売主が誰であり、 売主とされる者が真に権利を所有する者であるかの確認は本来的には売買によって権利を取得することとなる買主の責任において事前に十分な調査を尽くした上で行うべきもので あるというべきである。 しかるところ、Xは平成24年12月上旬に本 件不動産を紹介されてから本件登記申請の前 日に至るまで売主とされたAと面会したことはなく、自ら依頼してAの本人性や本件不動 産の権利性を裏付ける資料を事前に徴求するということもなかったというのであり、Xが 十分な調査を尽くしていたとは認め難い。

 

また、本件登記申請前日も前記のような本件売買契約に至る経緯についてX関係者がY に告げていた経過はうかがわれないこと、

Y を通じて示されたA名義の運転免許証等を見てもX関係者は自称Aと売主との同一性に いて特に異論を述べていないこと、

Xにおいて翌日には登記申請をするとしてYに登記申請の準備を急がせたことなどからすると、こうしたX関係者の対応がYが本件売買契約に至る経緯に照らしてより慎重に印鑑登録証明書等を確認するという契機と時間的な余裕を減少させたことは否定し難いところである。

 

さらに、Xは売買代金の支払を登記が完了したときまで待つのではなく、登記申請が受理された時点で自称Aに支払っており、この ようにXが登記申請と代金決済を急いだことも本件損害の発生に大きな影響を及ぼしているといえる。

よって、X自身の過失も大きい と言わざるを得ないのであり、その過失割合は7割と認めるのが相当である。

 

以上によれば、YはXに対し、本件売買契 約の代金3500万円及び委任契約の報酬78000 円の合計3507万8000円のうち3割に相当する 1052万3400円の限度で損害賠償金の支払義務を負うこととなる。

 

3  まとめ 本判決は、司法書士が本人確認の際、運転 免許証や印鑑登録証明書に印字のずれや消去した文字の残像のようなものがあったという不審な痕跡は、平成21年に東京法務局及び東京司法書士会の注意喚起で得られた不正登記 事案に該当することを前提に、司法書士には 本人確認を怠った過失があると認められた事例である。本人であるかどうかの基本的確認 は買主の責務だとし、これを十分果たすことなく司法書士に丸投げした買主の過失相殺を 7割とした判断は、注目される。

これ以外にも、登記における司法書士の責任範囲について明示した判例横浜地裁 H25.12.25判決 RETIO94-104)として、契約意思の確認や登記のため準備された書類の真偽確認は本来的には買主が行うべきものと し、司法書士が絶対的に確認義務を負うとはいえないとした事例がある。また、類似判例 として、東京地裁H25.5.30判決 ウェストロー・ジャパン、東京高裁H25.7.11判決 ウェ ストロー・ジャパンも併せて参考にされたい。

売買代金3500万円と報酬7万8千円の3割が損害賠償額1052万円3400円

司法書士損害賠償 登記義務者の成りすましを看過(過失相殺7割)

司法書士損害賠償 登記義務者の成りすましを看過(過失相殺7割)
http://taxmlcheck.jugem.jp/?eid=1792
国税理士会報 平成27年11月10日号より。

○TAINS判決・裁決紹介
司法書士損害賠償 登記義務者の成りすましを看過(過失相殺7割)
東京地裁平成26年11月17日判決。

厳しいですね。
売買代金3500万円と報酬7万8千円の3割が損害賠償額と認定。

つまり、1052万円3400円です。
買った本人が7割悪いとは言いつつ、これはなんというか。

印鑑登録証明書の印字ずれや、運転免許証にインクにじみがあった。
平成21年東京法務局・東京司法書士会が注意喚起したではないかと。

いや、司法書士って、そこまでの不正登記事案発見義務を負うのですか。
税理士でよかったと、いやしみじみ思いました。

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

 

司法書士へ1052万3400円の限度で損害賠償金の支払義務

家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅不動産弁護士 司法書士の本人確認義務・空 ...

2016/05/10 (Tue)

司法書士の本人確認義務・空飛ぶ力士たち

[司法書士の本人確認義務]
司法書士は登記手続きを本人に代わって代理登記するのが主たる業務ですが、法律は司法書士に「代理人」という概念では説明できない義務-本人確認義務を課しています。
売り主が本人なのかきちんと確認しなさいという義務です。

目の前に売り主がいる、この売り主は、本当に登記簿上の名義人と同一人物なのか、この確認を司法書士に課しているわけです。
個人的には、そんなもの、買主の責任だろう、わずかな手数料しかもらえない司法書士にそこまで義務を課すのかと同情したくなりますが、まあ、お上の意向がそうならやむをえないでしょう。

最近、問題となった判例東京地裁 平成26年11月17日判決(判例時報2247号39頁)があります。不動産を購入した買主が、実は売り主が別人であることを見抜けず、しかし、見抜けなかったのは司法書士の責任だと買主が司法書士を訴えたのです。
判決によれば、
① 司法書士は「売り主」から運転免許証や印鑑登録証明書の登記申請書類の真否確認を含む登記義務者の本人確認を委任された。
② 本件運転免許証にはインクのにじみのようなものがあった。
③ 本件印鑑登録証明書にも印字のずれや消去した文字の残像のようなものがあった。
④ 平成21年に東京法務局及び東京司法書士会がした注意喚起では、偽造された印鑑登録証明書には氏名や住所等の上書きした部分に消去した文字の残像が一部残っているなどと紹介されている。
⑤ 司法書士としては、不審であると思うべきで、「売り主」に、本人であるか否かを証明できる客観的資料の提出をさらに求めるとともに、買主に対しても不審な点があることを伝えて注意喚起をするべき義務があった。
⑥ ところが司法書士は、本件印鑑登録証等に現れた不審な痕跡を看過し運転免許証の顔写真との風貌の一致や生年月日等を確認したのみで本人性の確認を終えている。
⑦ したがって、司法書士には、運転免許証や印鑑登録証明書等の登記申請書類の真否の確認を含む本人の確認を怠った過失があると認められる。

しかし、売り主が本人かどうかなんて、買主の責任で判断すべき事柄で、自分でろくな調査もしないまま、司法書士に責任を負えと言うのは、どっか筋違いかなという気がします。
特にこの事案では、本件不動産を紹介されてから本件登記申請の前日に至るまで「売主」と一度も面会していないし、自らプロに頼んで「売主」の本人性や本件不動産の権利性を裏付ける資料を事前に徴求するということもしていません。
そのため裁判所は、7割の過失相殺をしています。それでも、本件売買契約の代金3500万円及び委任契約の報酬78000円の合計3507万8000円のうち3割に相当する1052万3400円の限度で損害賠償金の支払義務を認めています。

これは、不動産投資一般にいえるけど、いくらサラリーマンでも、専業主婦でも、不動産を購入する以上は、全てのリスクを自己が負担するという意識が求められます。特に信用ある仲介業者を経ての売買ではなく、「口コミ」での紹介物件の売買は、地面師が暗躍している可能性が高いと思ってください。

 

不法行為に基づき売買代金相当額等の合計1.4億の損害賠償を求めて提訴

那須法律事務所

2013年6月3日 · 

依頼者の意思能力についての司法書士の確認義務違反が問題となった裁判例です。
(*大変長文となってしまいましたが、興味深い事案のため、投稿します。
専門的な内容になりますので、興味のない方はスルーして下さい(^^))

【当事者・関係者】
A子:統合失調症で複数回の入院歴あり
B男:A子の兄
(司):司法書士(本件訴訟の被告)
X:不動産業者(本件訴訟の原告)

【事案】
(わかりやすくするため一部改変・簡略化しています)。

H17.6、A子、本件土地を亡母の遺言により取得。
同じころ、A子、統合失調症のため入院。

H17.8、B男、(司)の勧めに従い、A子についての後見の申立書作成を(司)に依頼。
医師によりA子について後見相当の診断書が作成される。

H17.9、B男、A子につき成年後見を申立て(後に取下げ)。

H18.2、B男が亡母の遺言につき遺留分減殺請求。A子がB男に対し遺留分の弁償として本件土地を譲渡し、その登記をする旨合意。
同日、(司)の依頼により、(司)の事務所にて、(司)の立会いの下、公証人がその旨の公正証書を作成。

(司)が代理人となって、本件土地につき、A子からB男へ所有権移転登記(以下「本件登記」)の手続がなされる。

H18.7、A子について成年後見開始。

H18.12、B男、Xに本件土地を代金1.3億で売却、売買を原因とする所有権移転登記がなされる。

H19、A子の成年後見人がA子の意思無能力を理由として本件登記とB男→Xの登記の抹消を求めて提訴。

H21、成年後見人の請求を認容する判決がなされ、確定。

Xが(司)に対し、登記申請の委託を受けた際に、A子は意思無能力であったのに、その確認を怠ったとし、不法行為に基づき売買代金相当額等の合計1.4億の損害賠償を求めて提訴。

【判決の内容】
裁判所は、登記申請を委託した時点において、A子は意思無能力ではなかったと認定しつつ、「仮に意思無能力であったとしても」として、次のとおり判断しました(東京地裁H24.6.27)。

a.司法書士は意思能力の有無についての専門家でなく、その職責上、意思能力について専門的な知見を有することが期待されているわけではない。
そうすると、司法書士は、登記申請の委託を受けた場合、依頼者に意思能力がないかどうかについてまで調査確認すべき義務を一般的に負うことはない。
b.もっとも、司法書士が、依頼者が意思能力を有しないのではないかとの疑いを持つ「特段の事情」がある場合には、意思能力について調査確認すべき義務がある。
c.本件では、(司)は、B男にA子について後見開始の申立を勧めたことがあり、また、A子が統合失調症で入院中であることを知っていた。
d.しかしながら、本件登記は公正証書に基づくものであるところ、
①公証人は公証人法施行規則により、(法律行為をする者に)その能力があるかについて疑いがあるときは、関係人に注意をし、その者に必要な説明をさせなければならないとされる、
②本件では公証人はA子の行為能力に疑いを持たなかった、
司法書士は公正証書に基づく登記を依頼された場合、拒否することができないのが原則である。
e.本件登記手続を行った時点でA子は名前を言え、字を書け、内容を理解していたことから、(司)はA子の意思能力に疑問を持たなかった。
f.上記d・eの事情に照らせば、上記「特段の事情」があったといえない。
他に「特段の事情」を基礎づける具体的な事実の主張立証もない。
よって(司)はA子の意思能力について医師に調査確認すべき義務を負わない。

【私見】
以下は私見です。

判決が、司法書士が「特段の事情」のない限り依頼者の意思能力について調査義務を負わないとしたことについては賛成します。
また、公証人が本人の意思を確認して公正証書を作成し、これに基づいて登記の依頼がなされた場合には「特段の事情」を認めるのは困難とすることも一般論としては納得できます。

しかしながら、本件の場合、以下の点で疑問が残ります。

・公証人によるA子の意思確認が不十分だった可能性がありますが(例えば、B男を別室に控えさせるなどしてB男の影響力を排したうえでA子の意思確認が行われたのか等)、もしそうであったとすれば、本件では(司)も同席していたのですから、公証人が「行為能力に疑いを持たなかった」としても、(司)において意思能力のないことを疑うべきであったとして、なお「特段の事情」が認められる余地があるのではないか。

・公証人に依頼したのが(司)であることからすれば、登記の依頼を拒否できない状況を自ら作出したともいえなくもなく(勿論公証人の意思確認というワンクッションを置いてはいますが)、公正証書により登記を依頼されたことをもって直ちに「特段の事情」がないことの根拠とすることは妥当ではないのではないか。

・(司)が、B男にA子について後見開始の申立を勧めていたこと、(時期は異なりますが)医師が後見相当の診断書を作成したことを認識していたこと、統合失調症の病歴があることを認識していたことからすれば、「名前を言え、字が書け、内容を理解していた」というだけで、(司)が意思能力に疑問を持たなかったことを直ちに是認してよいのか。

これらの点についてX側からさらに主張立証がなされれば異なる判断もあり得たのではないでしょうか。

《今後に向けて》
このような裁判例は、公正証書による登記の依頼を受けたときは、司法書士には依頼者の意思能力を調査すべき「特段の事情」は認められない、と読まれてしまいがちのように思われます。

しかし、司法書士が公正証書の作成をセッティングした場合や、公証人の意思確認の方法が不十分であることを司法書士が認識していたような場合には、公正証書にて登記の依頼を受けたとしても、意思能力の調査義務を免れることができないとされる場合があると考えます。

さらに、後見の分野に関わることの多い司法書士については、意思能力の確認方法について一定程度の知見を有している(ことが期待されている)とされ、依頼者の意思能力の調査義務を負うと認定される可能性がより高くなることも考えられるところです。

司法書士だけでなく、他の士業(特に後見の分野に関わる士業)にとっても注意が必要ではないかと考えます。

 

 

 

カエルのおじさん所長のブログ

不動産賃貸経営と司法書士の二足のわらじをはく自称『カエルのおじさん』が、不動産経営や司法書士業務について日々の体験談や考え方を綴ります。 【追加】H25年8月に、高血圧、高血糖で入院したのを機に、成人病対策の記事も始めました。http://juri-shihoshoshi.cocolog-nifty.com/

話を戻して懲戒事例にどんなのがあるかというと、 たとえば 

○職印の管理 職員の誰もが使用できるような場所での保管はダメとか。 …じゃあ、どのセンセイもみんないちいち職印を金庫に入れたりしているのかという話。

 ○印紙の貼付けを職員に任せたらダメとか。…印紙の貼付けみたいな単純作業は、普通はどこも事務員さんがやってるでしょうに。カエルのおじさんが修行した事務所でも ボスが印紙を貼っているところなんて見た記憶すらありません。

 ○金券ショップで印紙を買うな チケット屋で格安印紙を購入した場合の差益は、報酬外の金銭着服に当たりダメとか。 …大阪会では司法書士共同組合が印紙の割引販売をしています。何%かが会員の口座にバックされるシステムになっていますが、 これはどうなるの?という話です。 

○戸籍の職権請求書の控えが数枚紛失していてもダメとか。 …長年やってればそれくらいは紛れて無くなることもあるでしょうに。懲戒をかけるんなら、紛失した請求書がどこでどういう風に 悪用されたか証拠を提示してすれば文句は無いはず。それがただ単に紛失したから・・なんて性悪説に偏りすぎ。 

○非認定司法書士さんが破産申立て業務をHPで宣伝しただけでダメとか。 …裁判所提出書類作成は非認定でもできるはず。債務整理にしても簡裁代理制定前でも司法書士さんはみんなやっていましたからねー。 ということは昔から多重債務者の救済に奔走されていたその道の先駆者たる司法書士さんはみなさんグレーだってことなんですか。 

○ヒドいのは保証書の本人確認漏れがダメという事例 ‥保証書って、いったいいつの時代のことを持ち出して来るの? 

○よくあるのは抵当権抹消登記で死亡者の委任状で登記した例 …これは確かにいけないですけど、少し前までなら普通にやっていたものですよ。これも古い先生ならほぼ100%経験があるはず。 ※要するに、現在頑張っておられるセンセイは誰でも叩けばホコリが出てくるはず。 司法書士に対するこうしたイジメのような締め付けは、いったい誰が何の目的でやっているのでしょうか? それでなくても 

○甲乙オンライン申請

 ○本人確認資料の保存 

○職権請求書の管理。 これに加えて 

○職員の管理 

○相談時の説明責任 

○法改正に、毎日の通達理解 

○和解交渉権限の有無 

○相談応対権限の有無の確認。 これもきびしい遵守事項ばかり・・・これをやっていないと懲戒だなんて ホントこれからの司法書士さんは自由社会とは思えないほどがんじがらめの世界で生きていかなくてはなりません。 事務の対リスクリターンと言ったら、目茶苦茶低いものとならざるを得ません。 これでは司法書士を目指そうという有能な人材なんか出て来ないでしょう。 カエルのおじさんは、幸い不動産収入の道を確保しましたから、たとえ理不尽かつ権限濫用的な懲戒処分を受けたとしても生活には困りません。 しかし、開業したての司法書士業務を生業としておられる若い司法書士さんは、どんなに稼いでいても、懲戒処分=業務停止=生活破綻を意味します。 無借金で相当な蓄えがある人は別にして・・ネ。 大規模司法書士法人事務所も例外じゃありませんよ。 一人の社員の会則違反が原因で法人自体が懲戒処分されている事例も出て来ています。一か月の業務停止なんか食らった日には職員全員の給料すら支払えなくなります。 簡裁代理権付与というのは、司法書士にとっては良くも悪しくも諸刃の刃なんだということが最近つくづく感じます。 よほど気合いをいれて普段の仕事にかからないと気が付いたら揚げ足を取られて会から排除させられてしまいかねません。 ここまでして仕事をこなして行かないといけないなんて…これからの司法書士は超ハイリスキーな職種です。 というわけでカエルのおじさんは、不動産収入でセミリタイア生活実現を急がないといけないなと再確認しているこの頃です。

 

 

1.信頼している銀行からの委任状で登記したが死亡していた、

銀行担当者から根抵当権の抹消の登記申請を依頼され至急扱いであったため、
登記権利者に登記申請の意思確認をせず、登記情報の確認も十分に行わないまま、銀行担当者から受領したA及びBの委任状を添付して、
登記申請を行った。ところが、実体上、権利者Bには既に相続が開始しており、その旨の登記もしてあったため、本来Bの相続人の委任状が必要であったにもかかわらず、死者であるBの委任状を添付してしまったのです。これが、意思確認の懈怠として、業務停止処分の対象となってしまった。

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2.補助者の定期使う・700円を1000円請求

月報司法書士ってゆうのが毎月司法書士会から送られてくるんですけどね

 その月報司法書士ってのに毎月懲戒事案が載ってます 

登記事項証明書ってのは以前は、法務局で徴求すると1000円オンラインで徴求すると700円 オンラインで徴求していたにもかかわらず1000円請求していたとか・・あと、定期券を同じ事務所の人間が自分名義の定期券ではないにもかかわらず使っていたとか・・・

 

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3運転免許書の偽造を見破れない

3月号の懲戒処分事例の3番目に掲載されていた事例については、かなり驚きました。毎回、そんなに驚くようなことはないのです。司法書士にも全国には悪い人もいるものだなぁ、程度でいつも読んでいるわけですが。 事例としては、不動産の売主の偽者(なりすまし)が現れ、偽造された運転免許証で本人確認をし、印鑑証明書と違ったハンコに司法書士が気づかずに、登記申請をしてしまった事例です。 処分は1か月の業務停止です。かなり重い処分だと思います。・・・・

http://www.shiho-shoshi.or.jp/?attachment_id=38755

運転免許書の偽造を見破れないのが、「業務に関する法令及び実務に精通し公正かつ誠実に業務を行わないで、司法書士に期待される国民の信用を裏切り司法書士の品位を著しく失墜させて居る」といえるのでしょうか?

 

【懲戒処分:意思確認せず相続登記 司法書士を戒告処分--佐賀 /佐賀】
 相続人の意思を確認せずに建物の相続登記の手続きをしたとして、佐賀市の70代男性司法書士が佐賀地方法務局から戒告の懲戒処分を受けていたことが、県司法書士会などへの取材で分かった。処分は今月11日付。
 同会や法務局によると、男性司法書士は02年8月、金融機関から依頼を受けた相続登記1件について、司法書士法に違反して相続人5人と意思確認の面談をせずに委任状を作成し、法務局白石出張所(当時)に提出したという。金融機関はその建物の抵当権を持っており、建物を競売に掛けようとしていた。
 登記簿を確認した相続人から11年6月に同会に苦情が寄せられて発覚した。(2012年10月23日 毎日新聞) 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121023-00000170-mailo-l41

 

 

最近驚いた懲戒事例 [裁判事務]

http://shihou-iguchi.blog.so-net.ne.jp/2009-06-01

司法書士法務省管轄の資格です。何か悪いことをすれば,管轄の法務局長(地方法務局長)から懲戒処分を受けます。
司法書士の懲戒事例は,日本司法書士会連合会の会報でも公表されるのですが,先般,この会報を読んでいて驚くべき懲戒事例を発見しました。

簡単に言えば,ある司法書士は,
①この司法書士が代理人になれない訴額の裁判書類の作成業務を受託(書類作成業務は受託できる)し,その報酬として,代理業務と同等の成功報酬を受領した
②さらに,この司法書士は,夫婦の債務整理業務をそれぞれ受任したところ,夫婦の一方の代理人を辞任するべき事情が生じて辞任したのち,他の一方の代理人も辞任した
③さらに,この司法書士は,委任者本人の了解を得て,委任契約に定めない方法で報酬を受領し,報酬受領方法の変更の契約を締結しなかった
ところ,驚くべき理由で懲戒されました。

まず,①の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,書類作成業務につき,依頼者と成功報酬を支払う合意をしたとしても,社会通念上,この契約は相当ではなく,しかも,この契約行為が懲戒処分に相当すると判断しました。
次に,②の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,夫婦の一方の代理人を辞任するべき理由が生じた場合に,夫婦の他の一方の代理人も辞任する行為は正当ではなく,しかもこの行為は懲戒処分に相当すると判断しました。
最後に,③の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,本人の了解を得ていたとしても,当初の委任契約を変更しない限り,当初の委任契約に定める方法で報酬を受領しないと,その行為は懲戒処分に相当すると判断しました。


もう,驚くべき判断です。法務局は,とうとう委任契約の中にまで入り込み,法務局の基準でない行為・約定については,すべて懲戒処分で臨むことを宣言したようなものです。
今後,日本司法書士会連合会や各司法書士会が,このような懲戒処分を受け容れるのであれば,個々の司法書士はもう安心して仕事ができません。懲戒されるかどうかは,もはや「運次第」と言うことになるでしょう。

 

少し気になる懲戒事例

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/174282/154408/58236295

 今月号の月報司法書士はいつもより懲戒処分の公表記事が多いように見えます。そのうちの債務整理をめぐって戒告をうけた事例のなかで、懲戒処分の事実および理由にこんな一節がありました。

  • 被処分者は、140万円を超える地裁案件について、裁判書類作成業務として処理しているにもかかわらず、代理業務と同様の基準による成功報酬等を請求している。
  • 被処分者は、140万円を超える地裁案件について、裁判書類作成業務として処理しているにもかかわらず、代理業務と同様の基準による成功報酬等を請求した点については、一般的な業務内容を踏まえて社会通念に照らせば不適切な取扱いであると認められる。

『月報司法書士447号 P.106~107』

 さてこの部分、司法書士業界における過払いバブル崩壊につながる破壊力を秘めているとも思えます。回収額の一定割合(事務所によっては、さらに債務を減額した金額の一定割合)を任意整理でなく裁判書類作成によって過払い金を回収したときでも同じように請求している事務所は多々あるはずですから。僕のところのように、裁判書類作成業務と比較されるべき『代理業務』が存在しない事務所であっても、成功報酬制を取る報酬設定を持っている関係上、潜在的には懲戒されうると考えねばいけません。

 債務整理を主たる業務としている諸先生方には一定の混乱を巻き起こすんだろうな、という関心はさておいて、この事務所の主たる業務である労働問題についてはどうでしょう?上記の引用をみると、『一般的な業務内容を踏まえて』不適切な取扱い、というところに手がかりがある気がします。

 ここでの一般的な業務内容、というのを、司法書士業界での報酬額基準が生きていた時代の一般的な裁判書類作成=比較的簡単な事案の訴状を数枚書いて、一回あたり数万円の報酬を得る、と考えていいならば、確かに訴状本文と添付の計算書せいぜい合計十枚弱であっさり完全勝訴判決が取れ(特に論点がない場合)、その請求認容金額がたとえば150万円で、司法書士が成功報酬として25%で消費税込40万円弱(場合によっては、さらに債務の減額に関する報酬として数万~十数万といったところでしょうか)程度の報酬を取ったら…

 なるほど、そりゃ変な気がします。昔の報酬額基準で報酬設定をすれば、どうみても10万円程度になってしまいますから。この懲戒事例では処分された司法書士が請求した報酬額が、夫婦合計530万円余ですので、まぁ僕の事務所の昨年の売上の半分以上という高額(笑)であることも、回収額や債務額に対する一定のパーセンテージでお金を請求してしまうことの不当性を強めたのかもしれません。

 さてではこの事務所の仕事に照らして考えてみます。一般的なご依頼像としては

  •  請求額100万円程度
  •  20ヶ月程度の割増賃金未払い
  •  敵には弁護士が着く
  •  口頭弁論期日三回程度は全力で殴り合う
  •  和解額は80万円程度

 こんな感じでしょうか。かんたんに、各裁判書類の正本および副本2通作成は1ページあたり6千円、このほか一件について1万円の基本報酬を取ってみるとすると

 訴状 本文10枚添付計算書22枚 

 計32枚×6000円+1万円=20万2000円

 第1~第3準備書面 平均一件6枚と超少なめに仮定して(実際には一件10ページを超える準備書面がホイホイ出る)

 (6枚×6000円+1万円)×3件=13万8000円

 合計34万円。純理論的にはこういったお金の取り方なら『一般的な業務内容を踏まえて』も『社会通念に照らして』も特に不当性がないということになるでしょう。これぞまさしく、古式ゆかしい報酬額基準の適用形態として標準的です。

 取れたらいいよね、そんなにさ(憮然)

 もちろん当事務所の日常がこんなに素晴らしいはずもなく、どこかに行くことを一切無視しても上記の事案なら当事務所での報酬設定は、

 書類作成開始の際に請求額の5%程度

 100万円×5%=5万円

 和解成立後、お客さまがお金を受け取った際にその額の10%程度

 80万円×10%=8万円

 以上合計、13万円。これだけです。

 さてそうするとこれは懲戒相当なのか?もし世の中がそのようなものであるならば、僕は胸を張って司法書士を廃業していいはずですが、情緒的なものはさておきなんらかの論理構成を考えねばなりません。

 有力な考え方としては、

  1.  本来あるべき、書類の枚数での報酬計算
  2.  1.での計算額が過大になる場合にのみ許される、請求額や回収額に応じた報酬計算

 の二つを提示し、安い方を採用している(そのことによって、少額事案での依頼のしやすさを実現している)、というものではないかと思います。これだと、安すぎる報酬の設定による依頼の不当誘致、という問題は残るものの、報酬が過大になって糾弾されることは絶対なくなります。僕が司法書士会や法務局に呼ばれても、偉い人達がさぞ困ることでしょう(笑)

 なんのことはない、当事務所における一般的な請求金額と作業量でみるかぎり、たとえ成功報酬を請求してもそれは『標準的な報酬より減額して請求される、後払いの一種』になってしまうということでしょうか。ただ、この点について当事務所の報酬額基準では、労働事案においても書類作成枚数を積算して得られた報酬額のほうが安いときにはそうする旨の規定(作成枚数が多いので発動実績は皆無)を設けていますが、これをもう少し分かりやすいものにしておく必要がありそうです。

最後にぽっぽこさん、はじめまして、コメント拝見しました。

さて労働訴訟の依頼人、依頼した弁護士さんと進行中の裁判にはちょっと後ろ向きな印象をお持ち、ということなんですねぇ。残念ながらそうした体験談は、この事務所にはないんです。ごめんなさい。なぜならここの事務所は代理人にはなれない関係上、すべての手続きが労働者自身が出頭してやらねばならず、さらに各期日ではかなり積極的に書面を出して攻めて行く関係上、和解勧試だけがだらだら続くこともないからです。コメントからでは誰に原因があるのか不明ですが(あなた自身にある、という可能性も当然私は捨てません)、お望みの情報がネットに転がってるとは考えない方がよいでしょうね。

 ただ、そうした事案を全く知らないわけではありません。公開可能な性質のものではないのですが、訴訟代理人を使う労働訴訟においては一般的にありうると考えてもよいのでしょうね。

2009年5月28日 (木) 23時21分 日記・コラム・つぶやき | 固定リンク

 

 

 

2014-04-24

http://d.hatena.ne.jp/itousihousyoshi/touch/20140424/p1

司法書士の最近の懲戒事例

司法書士業務

今月も月報司法書士が送られてきましたので、毎度恒例のの懲戒事例を見ていました。
ここにある事例を定期的に確認しておくことによって、自分の業務姿勢についても見直すきっかけになります。
さて気になった事例としては2つ

テレビ電話による本人確認

不動産の登記手続きにおいて、権利書(登記識別情報)の添付は欠かせないのですが、何らかの理由によって添付できない時は、司法書士が本人であるかどうかをよくよく確認して、本人確認情報の作成に変えることがよくあります。
その際、本人には面談して、運転免許証などを確認し、いろいろと聞き取りをするのですが、その面談が「テレビ電話」だったという事例で、懲戒になっていました。「え?ダメなの?」
そう考えるのも自然ではありますが、本人確認情報を作成するうえで必要な「面談」は直接会う面談を意味します。テレビ電話は面談にはならないんですね。これは登記研究には掲載されていました。
売主が海外にいる場合、やむを得ずテレビ電話を利用することもあるかと思いますが、これが「本人確認情報を作成する」場合には、テレビ電話では足りないということです。

名寄帳の閲覧の委任状偽造

もう一つ気になったのは、委任状の偽造の事例です。
月報司法書士に掲載されていた事例は、相続手続きに関して名寄帳を取り寄せた事例のようですが、不動産登記をよく行う司法書士事務所では、昔は、売主が用意する固定資産税評価証明書を、司法書士が委任状を作って取得していたことがあると聞いたことがあります。これは私文書偽造及び行使にあたります。
私も売買による所有権移転登記をお願いされる際、売主が評価証明書を用意していないにも拘わらず、買主から登記費用の見積もりをお願いされることがあります。その場合は当たり前ですが、売主さんに評価証明書を取得してもらうまで待ってもらいますし、売主さんがどうしても動けないなら、売主さんから委任状をキチンと貰って、代わりに取得したります。
確かに、買主さんやその仲介にとっては評価証明書を素早く取得してくれる司法書士さんは有りがたいかと思いますが、私は、あまりにも都合が良くて便利な司法書士にはなりたくないので、この点は、きちんとしていますね。
****
以上、最近の懲戒事例でした。そういえば、最近、本屋で司法書士懲戒事例をまとめた書籍が置かれているのを見かけました。

司法書士の責任と懲戒

 

 

【懲戒処分:意思確認せず相続登記 司法書士を戒告処分--佐賀 /佐賀】
 相続人の意思を確認せずに建物の相続登記の手続きをしたとして、佐賀市の70代男性司法書士が佐賀地方法務局から戒告の懲戒処分を受けていたことが、県司法書士会などへの取材で分かった。処分は今月11日付。
 同会や法務局によると、男性司法書士は02年8月、金融機関から依頼を受けた相続登記1件について、司法書士法に違反して相続人5人と意思確認の面談をせずに委任状を作成し、法務局白石出張所(当時)に提出したという。金融機関はその建物の抵当権を持っており、建物を競売に掛けようとしていた。
 登記簿を確認した相続人から11年6月に同会に苦情が寄せられて発覚した。(2012年10月23日 毎日新聞) 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121023-00000170-mailo-l41

 

 

最近驚いた懲戒事例 [裁判事務]

http://shihou-iguchi.blog.so-net.ne.jp/2009-06-01

司法書士法務省管轄の資格です。何か悪いことをすれば,管轄の法務局長(地方法務局長)から懲戒処分を受けます。
司法書士の懲戒事例は,日本司法書士会連合会の会報でも公表されるのですが,先般,この会報を読んでいて驚くべき懲戒事例を発見しました。

簡単に言えば,ある司法書士は,
①この司法書士が代理人になれない訴額の裁判書類の作成業務を受託(書類作成業務は受託できる)し,その報酬として,代理業務と同等の成功報酬を受領した
②さらに,この司法書士は,夫婦の債務整理業務をそれぞれ受任したところ,夫婦の一方の代理人を辞任するべき事情が生じて辞任したのち,他の一方の代理人も辞任した
③さらに,この司法書士は,委任者本人の了解を得て,委任契約に定めない方法で報酬を受領し,報酬受領方法の変更の契約を締結しなかった
ところ,驚くべき理由で懲戒されました。

まず,①の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,書類作成業務につき,依頼者と成功報酬を支払う合意をしたとしても,社会通念上,この契約は相当ではなく,しかも,この契約行為が懲戒処分に相当すると判断しました。
次に,②の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,夫婦の一方の代理人を辞任するべき理由が生じた場合に,夫婦の他の一方の代理人も辞任する行為は正当ではなく,しかもこの行為は懲戒処分に相当すると判断しました。
最後に,③の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,本人の了解を得ていたとしても,当初の委任契約を変更しない限り,当初の委任契約に定める方法で報酬を受領しないと,その行為は懲戒処分に相当すると判断しました。


もう,驚くべき判断です。法務局は,とうとう委任契約の中にまで入り込み,法務局の基準でない行為・約定については,すべて懲戒処分で臨むことを宣言したようなものです。
今後,日本司法書士会連合会や各司法書士会が,このような懲戒処分を受け容れるのであれば,個々の司法書士はもう安心して仕事ができません。懲戒されるかどうかは,もはや「運次第」と言うことになるでしょう。

 

少し気になる懲戒事例

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/174282/154408/58236295

 今月号の月報司法書士はいつもより懲戒処分の公表記事が多いように見えます。そのうちの債務整理をめぐって戒告をうけた事例のなかで、懲戒処分の事実および理由にこんな一節がありました。

  • 被処分者は、140万円を超える地裁案件について、裁判書類作成業務として処理しているにもかかわらず、代理業務と同様の基準による成功報酬等を請求している。
  • 被処分者は、140万円を超える地裁案件について、裁判書類作成業務として処理しているにもかかわらず、代理業務と同様の基準による成功報酬等を請求した点については、一般的な業務内容を踏まえて社会通念に照らせば不適切な取扱いであると認められる。

『月報司法書士447号 P.106~107』

 さてこの部分、司法書士業界における過払いバブル崩壊につながる破壊力を秘めているとも思えます。回収額の一定割合(事務所によっては、さらに債務を減額した金額の一定割合)を任意整理でなく裁判書類作成によって過払い金を回収したときでも同じように請求している事務所は多々あるはずですから。僕のところのように、裁判書類作成業務と比較されるべき『代理業務』が存在しない事務所であっても、成功報酬制を取る報酬設定を持っている関係上、潜在的には懲戒されうると考えねばいけません。

 債務整理を主たる業務としている諸先生方には一定の混乱を巻き起こすんだろうな、という関心はさておいて、この事務所の主たる業務である労働問題についてはどうでしょう?上記の引用をみると、『一般的な業務内容を踏まえて』不適切な取扱い、というところに手がかりがある気がします。

 ここでの一般的な業務内容、というのを、司法書士業界での報酬額基準が生きていた時代の一般的な裁判書類作成=比較的簡単な事案の訴状を数枚書いて、一回あたり数万円の報酬を得る、と考えていいならば、確かに訴状本文と添付の計算書せいぜい合計十枚弱であっさり完全勝訴判決が取れ(特に論点がない場合)、その請求認容金額がたとえば150万円で、司法書士が成功報酬として25%で消費税込40万円弱(場合によっては、さらに債務の減額に関する報酬として数万~十数万といったところでしょうか)程度の報酬を取ったら…

 なるほど、そりゃ変な気がします。昔の報酬額基準で報酬設定をすれば、どうみても10万円程度になってしまいますから。この懲戒事例では処分された司法書士が請求した報酬額が、夫婦合計530万円余ですので、まぁ僕の事務所の昨年の売上の半分以上という高額(笑)であることも、回収額や債務額に対する一定のパーセンテージでお金を請求してしまうことの不当性を強めたのかもしれません。

 さてではこの事務所の仕事に照らして考えてみます。一般的なご依頼像としては

  •  請求額100万円程度
  •  20ヶ月程度の割増賃金未払い
  •  敵には弁護士が着く
  •  口頭弁論期日三回程度は全力で殴り合う
  •  和解額は80万円程度

 こんな感じでしょうか。かんたんに、各裁判書類の正本および副本2通作成は1ページあたり6千円、このほか一件について1万円の基本報酬を取ってみるとすると

 訴状 本文10枚添付計算書22枚 

 計32枚×6000円+1万円=20万2000円

 第1~第3準備書面 平均一件6枚と超少なめに仮定して(実際には一件10ページを超える準備書面がホイホイ出る)

 (6枚×6000円+1万円)×3件=13万8000円

 合計34万円。純理論的にはこういったお金の取り方なら『一般的な業務内容を踏まえて』も『社会通念に照らして』も特に不当性がないということになるでしょう。これぞまさしく、古式ゆかしい報酬額基準の適用形態として標準的です。

 取れたらいいよね、そんなにさ(憮然)

 もちろん当事務所の日常がこんなに素晴らしいはずもなく、どこかに行くことを一切無視しても上記の事案なら当事務所での報酬設定は、

 書類作成開始の際に請求額の5%程度

 100万円×5%=5万円

 和解成立後、お客さまがお金を受け取った際にその額の10%程度

 80万円×10%=8万円

 以上合計、13万円。これだけです。

 さてそうするとこれは懲戒相当なのか?もし世の中がそのようなものであるならば、僕は胸を張って司法書士を廃業していいはずですが、情緒的なものはさておきなんらかの論理構成を考えねばなりません。

 有力な考え方としては、

  1.  本来あるべき、書類の枚数での報酬計算
  2.  1.での計算額が過大になる場合にのみ許される、請求額や回収額に応じた報酬計算

 の二つを提示し、安い方を採用している(そのことによって、少額事案での依頼のしやすさを実現している)、というものではないかと思います。これだと、安すぎる報酬の設定による依頼の不当誘致、という問題は残るものの、報酬が過大になって糾弾されることは絶対なくなります。僕が司法書士会や法務局に呼ばれても、偉い人達がさぞ困ることでしょう(笑)

 なんのことはない、当事務所における一般的な請求金額と作業量でみるかぎり、たとえ成功報酬を請求してもそれは『標準的な報酬より減額して請求される、後払いの一種』になってしまうということでしょうか。ただ、この点について当事務所の報酬額基準では、労働事案においても書類作成枚数を積算して得られた報酬額のほうが安いときにはそうする旨の規定(作成枚数が多いので発動実績は皆無)を設けていますが、これをもう少し分かりやすいものにしておく必要がありそうです。

最後にぽっぽこさん、はじめまして、コメント拝見しました。

さて労働訴訟の依頼人、依頼した弁護士さんと進行中の裁判にはちょっと後ろ向きな印象をお持ち、ということなんですねぇ。残念ながらそうした体験談は、この事務所にはないんです。ごめんなさい。なぜならここの事務所は代理人にはなれない関係上、すべての手続きが労働者自身が出頭してやらねばならず、さらに各期日ではかなり積極的に書面を出して攻めて行く関係上、和解勧試だけがだらだら続くこともないからです。コメントからでは誰に原因があるのか不明ですが(あなた自身にある、という可能性も当然私は捨てません)、お望みの情報がネットに転がってるとは考えない方がよいでしょうね。

 ただ、そうした事案を全く知らないわけではありません。公開可能な性質のものではないのですが、訴訟代理人を使う労働訴訟においては一般的にありうると考えてもよいのでしょうね。

2009年5月28日 (木) 23時21分 日記・コラム・つぶやき | 固定リンク

 

 

 

2014-04-24

http://d.hatena.ne.jp/itousihousyoshi/touch/20140424/p1

司法書士の最近の懲戒事例

司法書士業務

今月も月報司法書士が送られてきましたので、毎度恒例のの懲戒事例を見ていました。
ここにある事例を定期的に確認しておくことによって、自分の業務姿勢についても見直すきっかけになります。
さて気になった事例としては2つ

テレビ電話による本人確認

不動産の登記手続きにおいて、権利書(登記識別情報)の添付は欠かせないのですが、何らかの理由によって添付できない時は、司法書士が本人であるかどうかをよくよく確認して、本人確認情報の作成に変えることがよくあります。
その際、本人には面談して、運転免許証などを確認し、いろいろと聞き取りをするのですが、その面談が「テレビ電話」だったという事例で、懲戒になっていました。「え?ダメなの?」
そう考えるのも自然ではありますが、本人確認情報を作成するうえで必要な「面談」は直接会う面談を意味します。テレビ電話は面談にはならないんですね。これは登記研究には掲載されていました。
売主が海外にいる場合、やむを得ずテレビ電話を利用することもあるかと思いますが、これが「本人確認情報を作成する」場合には、テレビ電話では足りないということです。

名寄帳の閲覧の委任状偽造

もう一つ気になったのは、委任状の偽造の事例です。
月報司法書士に掲載されていた事例は、相続手続きに関して名寄帳を取り寄せた事例のようですが、不動産登記をよく行う司法書士事務所では、昔は、売主が用意する固定資産税評価証明書を、司法書士が委任状を作って取得していたことがあると聞いたことがあります。これは私文書偽造及び行使にあたります。
私も売買による所有権移転登記をお願いされる際、売主が評価証明書を用意していないにも拘わらず、買主から登記費用の見積もりをお願いされることがあります。その場合は当たり前ですが、売主さんに評価証明書を取得してもらうまで待ってもらいますし、売主さんがどうしても動けないなら、売主さんから委任状をキチンと貰って、代わりに取得したります。
確かに、買主さんやその仲介にとっては評価証明書を素早く取得してくれる司法書士さんは有りがたいかと思いますが、私は、あまりにも都合が良くて便利な司法書士にはなりたくないので、この点は、きちんとしていますね。
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以上、最近の懲戒事例でした。そういえば、最近、本屋で司法書士懲戒事例をまとめた書籍が置かれているのを見かけました。

司法書士の責任と懲戒