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巨額の損害賠償請求・司法書士や税理士へ余り過ぎた弁護士が襲いかかる時代 否認や非弁の無料鑑定・公認会計士資格 飯田はじめ03-6265-6349このブログは飯田の個人的意見です

単なる証言だけ員面調書・検面調書だけで7年も刑事裁判とはあまりに理不尽

こんなことで7年も刑事被告として司法書士の信用もガタ落ち

して、この後はどうして生活していくのか?

 

これは証拠もない、単なる証言だけ員面調書・検面調書だけで7年も刑事裁判とはあまりに理不尽

 

 

徳島県司法書士会元会長の一部無罪確定へ

6月9日 17時52分

徳島県司法書士会の元会長が、資産を隠して破産する方法を依頼者に教えたなどとして、破産法違反ほう助の罪などに問われた裁判で、一部を無罪とした2審の判決が最高裁判所で確定することになりました。

徳島県司法書士会の元会長の岡敬治被告(58)は、7年前、建設会社の代表取締役の妻に、資産を隠して破産する方法を教えたとして破産法違反ほう助の罪に問われたほか、その2年後に建設会社の破産管財人にうその報告をした罪に問われました。
被告側は、「捜査段階での自白は誘導されたもので、加担する動機もない」と無罪を主張しました。

1審の徳島地方裁判所は、「捜査段階の供述は客観的な事実関係と整合し、信用できる」などとして無罪の主張を退け、執行猶予の付いた懲役1年6か月の判決を言い渡しました。


被告側が控訴し、2審の高松高等裁判所は、「捜査段階の供述の一部はあいまいで、依頼者とは特別な関係もなく、加担する動機は希薄だ」として破産法違反ほう助の罪について無罪を言い渡し、うその報告をした罪で罰金100万円の判決を言い渡しました。

これに対して被告側が上告していましたが、最高裁判所第1小法廷の池上政幸裁判長は、9日までに上告を退ける決定を出し、一部を無罪とした2審の判決が確定することになりました。

 

痴漢冤罪に巻き込まれたらどうなる――経験者が語る「勾留中もっともキツいイベント」とはhttps://hbol.jp/142588

 

2017年06月12日 ニュース

 今年に入って首都圏では痴漢の疑いを掛けられて逃亡を図り、ホームから線路に飛び降りる暴挙に出るケースが続出している。

 被害者に手首を掴まれた後、具体的にどんな手順で刑事手続きが進むのか。筆者は痴漢の疑いを掛けられ、写真撮影や指紋採取までされたことがある。

 第1回は駅員室から警察の取調室に連れて行かれるまで第2回は指紋採取や留置所内での出来事を記したが、今回はそれ以降の展開について説明したい。これは筆者の体験や取材に基づく事実である。本稿では、ただ事実を淡々と説明するにとどまる。法的なアドバイスについては専門家の意見を参考にしていただきたい。

裁判所に呼ばれて事情を聞かれる!

 送検されてきた事件に対して、担当検事が更なる捜査が必要だと判断した場合、被疑者の身柄を引き続き拘束しておくために、検事は裁判所に「勾留請求」という手続きをする。

 こうした手続きは書類によって行われるので、痴漢の容疑を掛けられ、留置場で取調べを受けている被疑者は、直接知ることができない。

 ただ、遅くても逮捕2日目には、“検察調べ”がある。これは逮捕後48時間以内に事件が検察の手に渡り、取調べを検事が行うことになったためである。被疑者は警察署から護送バスに乗せられ、地方検察庁まで連行される。

 このとき裁判所は、被疑者の身柄拘束が正当かどうか判断をするため、被疑者と直接面会して事情を聞く“勾留質問”をする。だから、留置場にいる被疑者は検察庁に呼ばれた後、今度は裁判所に呼ばれて、裁判官から事情を聞かれる。

身柄拘束中もっともハードな出来事が!

 この検事調べから勾留質問の流れは、住んでいる地域によって若干違いがある。刑事事件の発生件数が少ない地方都市の場合、午前中に検事調べがあり、午後から勾留質問が行われる。これは、たいていの地方検察庁地方裁判所が隣接しており、1日で手続きが終わってしまうためだ。

 一方、痴漢事件に限らず事件が多発する都市部では、毎日300件超もの事件を処理しなければいけないので、1日目に検察庁で検事調べ、そして翌日は裁判所で勾留質問という流れになっている。護送バスに何十人もの被疑者と一緒に、検察庁や裁判所に連れまわされる2日間は、身柄拘束中もっともハードなものといえるだろう。

 こうした手続きによって、裁判所が検察の勾留請求を認めると、まずは最長10日間の「勾留」が決定し、被疑者の身柄拘束は続く。留置場で身柄を拘束され、連日警察の刑事から取調べを受けるという実情は同じだが、自由を奪っている法的根拠が「逮捕」から「勾留」に変わるのだ。

勾留延長に起訴勾留!身柄拘束は3か月以上続く?

 痴漢事件に限らず、かけられている容疑に対して否認を続けると、勾留のタイムリミットである10日間が過ぎても勾留は続くことが多い。別に警察や検察が法律を無視しているわけではなく、勾留満期が近づくと検事は裁判所に対して、「勾留延長申請」という手続きを行うのだ。

 勾留延長が申請された場合、裁判所は最初の勾留申請時のように、被疑者を呼び出して勾留質問をすることもなく、書類審査だけで、あっさり勾留の延長を決定してしまう。延長された勾留のタイムリミットは最長で10日間。つまり、起訴前の勾留は最長で20日間なのだ。

 この勾留期間中に検察の検事は、被疑者を起訴して裁判を起こすか、不起訴処分にして被疑者を釈放するかを決定する。事件によっては、勾留満期になっても起訴か不起訴かを決めきれない場合(処分保留)もあるが、普通の痴漢事件であれば、たいていは勾留満期になった時点で、起訴か不起訴かが決定されるわけだ。

起訴されてしまうとどうなる?

 不起訴であれば事件は終わりで、被疑者は“無実の人”として釈放される。ところが起訴されてしまうと、今度は「起訴勾留」という身柄拘束が引き続きおこなわれるのである。起訴勾留は、

・最初の1回は2か月
・次回以降は1か月

 が期限だが、書類更新だけで安直に延長される上、更新回数に制限もない。起訴勾留は基本的に裁判が終わるまで続くのである。

 とはいえ、もし不起訴に終わっても、会社はクビになっているだろうし、家族も離散してしまっている……みたいな悲惨な状況になっている可能性が大だ。そんな事態を防ぐためにあるのが「保釈制度」だ。

 保釈制度はカネを払って罪を勘弁してもらうのではなく、「保釈保証金」というカネを裁判所に預け、裁判には必ず出廷することを条件に、公判中は出所して暮らせるシステムである。つまり、無事に裁判が終われば、預けた保釈金は戻ってくるし、有罪の実刑判決をくらった場合は、本格的に身柄を拘束されて刑務所に行かなければならない(保釈金は戻ってくるが)。

 保釈制度は起訴された直後から申請可能で、許可を出すのは裁判所だ。よほど重大な罪を犯した疑いを持たれていたり、何度も同じ罪を犯している累犯者でもない限り、保釈は認められるが申請1回で許可が出ない場合もある。

 痴漢事件の場合だと、公判が開始されて第2回公判くらいで行われる「被害者質問」が終わるまで保釈が認められないケースが多い。これは保釈で出所した被告人が、被害者に会って脅し、証言を妨害するのを防ぐためだと言われている。

 つまり痴漢の容疑をかけられて、無罪を主張した場合、もっとも最悪のケースは、逮捕されてから裁判で被害者質問が終わるまでの間、およそ3か月程度警察・検察によって身柄が拘束されてしまうのだ。

痴漢事件には勾留が却下されるケースが激増

 痴漢に対する刑事罰が重くなったのは、1990年代後半からだ。それまでは余程悪質なケースを除き、痴漢の疑いをかけられて警察に突き出されても、最寄の交番で警官に説教されるだけで釈放される「微罪処理」で事件は終わっていた。ところが軽い痴漢でも、刑事罰のある「迷惑防止条例」が適用されるようになってからは事情が変わってくる。

 罰金や懲役といった正式な刑事罰が下される以上、そうした刑罰を科すには正式な裁判が必要になるのである。初期の段階で素直に罪を認めていれば、正式な裁判を省略して書類手続きだけで罰金を支払う「略式手続き」というシステムも使えるが、痴漢の容疑を否認している以上、略式手続きは使えず、正式な裁判を行うハメになり、多くのサラリーマンが仕事や家庭を失う結果になったのである。

 ところが、そうした不条理な刑事手続きにも変化が現れている。2015年くらいから顕著になってきているが、検察が裁判所に対して行う勾留請求を、裁判所が却下するケースが増えてきているのだ。

 勾留というのは「逮捕」で被疑者の身柄を拘束しておけるタイムリミットが過ぎた後でも、引き続き被疑者の自由を奪っておける措置だが、その理由として、

・被疑者が逃亡してしまう可能性がある
・被疑者が証拠隠滅を図る可能性がある

というものである。

 確かにせっかく捕まえた被疑者が、身柄を解放した途端に行方をくらましてしまったら、起訴しても裁判は開けないし、重要な証拠を被疑者が始末してしまったら、起訴すら出来なくなってしまう。だから被疑者を勾留して身柄を拘束しておくというのは、一応意味があることだ。

 しかし痴漢事件の場合、その被疑者の多くは普通のサラリーマンである。ちゃんと住所もしっかりしており、勤めている会社もハッキリわかっている。そんな人物が痴漢の容疑から逃れるために、全てを捨てて逃亡などするわけがないのだ。また“痴漢の証拠”など、事件が起きた直後に警察が押収できるものはすべて押収してあるはずで、後から隠滅できる証拠などないのである。

 そんなわけで最近の裁判所は、痴漢事件に対して、「わざわざ勾留する必要はない」という立場になり、検察の勾留申請を却下するケースが増えているのである。特に顕著なのは東京地裁で、被疑者が痴漢容疑を否認していても、裁判所は勾留申請を却下することが多くなった。

 つまり、痴漢の疑いをかけられて、その場を上手く切り抜けることが出来ず、駅員室に連れ込まれてしまった挙句、警察に逮捕されたとしても3日目の朝には、とりあえず釈放され、シャバに戻れる可能性が高いのだ。

 一度逮捕されてしまったら、日常生活と完全に切り離され、3か月も刑務所暮らしを強いられる可能性があった痴漢冤罪事件において、この裁判所の変化は重大なモノだといえるだろう。

 次回はシャバに戻ってからも続く苦労についてどんなものなのかをお届けします。

<文/ごとうさとき>

【ごとうさとき】
フリーライター。’12年にある事件に巻き込まれ、逮捕されるが何とか不起訴となって釈放される。釈放後あらためて刑事手続を勉強し、取材・調査も行う。著書『逮捕されたらこうなります!』、『痴漢に間違われたらこうなります!』(ともに自由国民社 監修者・弁護士/坂根真也)が発売中

 

 

痴漢冤罪、警察の取調室では「冤罪だろうがパンツの中まで検査される」

2017年06月09日 ニュースhttps://hbol.jp/142310

 

 今年に入って首都圏では痴漢の疑いを掛けられて逃亡を図り、ホームから線路に飛び降りる暴挙に出るケースが続出している。

 被害者に手首を掴まれた後、具体的にどんな手順で刑事手続きが進むのか。筆者は痴漢の疑いを掛けられ、写真撮影や指紋採取までされたことがある。前回は駅員室から警察の取調室に連れて行かれるまでを説明したが、今回はそれ以降の展開について説明したい。

 これは筆者の体験に基づく事実である。本稿では、ただ事実を淡々と説明するにとどまる。法的なアドバイスについては専門家の意見を参考にしていただきたい。

指紋採取と写真撮影は強制される!

 取調べが一段落すると、次に待っているのは、

・写真撮影
・指紋採取

 である。

 これは逮捕された被疑者が必ず強制され、拒否する権利はない。ただ、痴漢事件だと多くの場合、被害者や目撃者が被疑者を取り押さえたとか、駅員が駅員室で身柄を拘束したとかで“現行犯逮捕”が成立するケースが多い。したがって警察官に手錠を掛けられ、

「○時○○分!現行犯逮捕!」

 というわかりやすい逮捕ではないので、被疑者はいつ自分が逮捕されたかわからないのである。

 最初の取調べの中で、担当の刑事から自分が逮捕されていることを聞かされるか、取調べ後に写真撮影と指紋採取をされるとき、初めて被疑者は自分が逮捕されたことを知るのだ。

鑑識課の”スタジオ”で写真撮影

 逮捕後、警察署内で移動するときは基本的に手錠がかけられ、腰縄が打たれる。写真撮影と指紋採取は署内の鑑識課で行われるのだが、取調べ室から鑑識課まで移動するのに、手錠&腰縄姿で連れ回される。

 署内に居る警察官たちにとって、手錠&腰縄姿で歩く被疑者の姿なんて見慣れたものだが、その姿で連れ回される被疑者自身にとっては“気分はもう犯罪者”だろう。

 鑑識課には、写真撮影をする“スタジオ”がある。そこで被疑者は正面・横顔・左斜め前の姿が撮影される。今はデジカメで撮影するので、鑑識課の専門家が撮影するのではなく、取調べをした刑事かその部下が、サッサと写真を撮るのが普通だ。

 一方、指紋採取はスキャナを使ってデータを取り込むので、この作業は鑑識課の担当者が行う。鑑識課の担当は、被疑者にあまり関心ないのか、丁寧な言葉使いで淡々と仕事をこなす。データがスキャニングされるのは、両掌と側掌紋(手首から小指にかけた手の横側)になる。

 ちなみに逮捕されて強制されるのは、写真撮影と指紋採取だけだ。

「DNA採取」を強制的にするためには、別の令状が必要になる。ところが、警察は多くの場合、あたかも強制のフリをしてDNAも採取しようとすることがある。痴漢事件の場合、被害者の衣服に被疑者のものと思われる体液でも付着していない限り、事件の捜査にDNA情報は提供しても意味はない。

留置場に入る前に身体検査がある!

 痴漢事件の多くは朝、あるいは帰宅時のラッシュアワーに多く発生する。したがって、痴漢の容疑を掛けられて、被疑者が警察署へ連行されるのは、午前中か夜である。

 午前中に逮捕されてしまった場合、写真撮影と指紋採取の後も取調べは続く。とはいえ、現在は長時間の取調べは内規で禁止されているので、食事休憩などもあり、連続で取調べられるのは3時間程度だ。夕食の時間(午後5時頃)には、その日の取調べは終わる。

 しかし、家には帰してもらえない。当然の成り行きとして、警察署内にある留置場……いわゆる“ブタ箱”にブチ込まれるのだ。

 留置場に入る前には、変なものを留置場に持ち込まないよう、身体検査が行われる。この身体検査の方法も警察署によってやり方が違うが、ヒドい警察署では完全に全裸にさせられる。拘置所と違い、一応、マントのような物を羽織らせてもらえるらしいが、その中はスッポンポンだ。

 もっとも昨今、そこまでする警察署は少なく、一番多いのはパンツ一丁にされるケースである。留置場を管理する「担当さん」と呼ばれる警察官数人に囲まれ、パンツ一丁になった状態で、余計な物を持っていないか確認される。この時、担当さんの1人がスキを見つけて、パンツの中もしっかり覗かれてしまうので覚悟しておこう。

犯罪者の巣窟?留置場の異様な空間

 ほぼ全裸の身体検査を受けた後、所持品はほとんど全て警察預かり(“領置”という)になる。衣服も規制が厳しく、ボタンのついた服、ベルトのあるズボンなど、普通のサラリーマが着ているスーツでは留置場に入場できない。留置場内で着られるのは、ジャージがスウェットの上下のような物だけだ。

 着る服がない場合、警察は上着から下着、靴下に至るまで、タダで衣装を貸してくれる。履物も靴は領置され、その代りに番号の書かれたサンダルを履くことを強要される。そして、

「今からオマエのことは、そのサンダルに書かれた番号で呼ぶから」

 と告げられる。

 留置場内の部屋は、昔は「房」と呼ばれていたが、今は「居室」という。ただ呼び名が変わっただけで、実態はそれほど変わりはない。鉄格子の入った檻で、家具の一切ない部屋である。収容されている被疑者の数が多かったり、特殊な事情がない限り、最初は複数の被疑者と一緒に生活する“雑居”に入れられる。

 留置場の居室の入れられる前には、担当さんから「他の被疑者に名前や罪状は話さないように…」と釘を刺されることもある。しかし、留置場にブチ込まれた同士で交わされる会話のネタなんて、

「何で捕まったの?」

 という質問から始まるのが普通だ。また、そういう会話をしているのを担当さんが見つけたとしても、それが咎められることは滅多にない。

 ただ、留置場の場合、基本的に入れ替わりは頻繁で、部屋を支配するボスのような奴はいない。また、妙な連帯感がある。普通に社会人としてのコミュニケーション能力があれば、変ないじめを受けることはないだろう。

 とはいえ、留置場内にいるのは刑事事件の容疑をうけて身柄を拘束されている被疑者ばかりだ。本当に罪を犯している人間も少なくない。留置場内は24時間警察官が監視している世界なので、むやみにビビる必要はないが、あまりに日常とはかけ離れた空間に呆然としてしまうかもしれない。

そもそも「逮捕」とはどういう意味なのか?

 朝はいつもと同じように会社や学校に通うつもりで家を出たら、気づいてみたら警察の留置場にブチ込まれていた……初めて逮捕を体験した人は、留置場の居室内でそんな自分の境遇に呆然自失するのが普通である。問題はそんなブタ箱にいつまで閉じ込められてしまうか?という点だ。

 被疑者に対して逮捕状を突きつけて、身柄を拘束する“通常逮捕”の場合は、逮捕状を執行した瞬間から、実際に犯罪を犯した犯人を逮捕する“現行犯逮捕”だと、身柄を拘束して

「○時○分 逮捕!」

 と、宣言した時から、ともに48時間以内に事件を検察庁へ送検しなければならない。事件が検察に送られると、今度はそれを受理した検事は24時間以内に、被疑者の身柄の措置を決断しなければならない。それは、

・起訴か不起訴かを決定する
・裁判所に「勾留請求」をして、捜査を継続する

 という選択だ。

 検事がどちらの選択をしたとしても、“逮捕による身柄の拘束”というのは、最長72時間で終わり。それ以上の時間、被疑者の身柄を拘束しておこうと思ったら、今度は「勾留」という手続きをしなければならないのだ。

 次回は検事調べと、勾留質問はどんなものなのかをお届けします。

<文/ごとうさとき>

【ごとうさとき】
フリーライター。’12年にある事件に巻き込まれ、逮捕されるが何とか不起訴となって釈放される。釈放後あらためて刑事手続を勉強し、取材・調査も行う。著書『逮捕されたらこうなります!』、『痴漢に間違われたらこうなります!』(ともに自由国民社 監修者・弁護士/坂根真也)が発売中

 

痴漢冤罪事件に巻き込まれるとどうなるか? 経験者曰く「駅員室に入るとほとんど終了!?」

2017年06月07日 ニュース

 今年に入って首都圏では痴漢の疑いを掛けられて逃亡を図り、ホームから線路に飛び降りる暴挙に出るケースが続出している。電車のダイヤが大幅に乱れるだけでなく、5月12日には逃げた本人が電車にはねられて死亡するという惨事も起きている。

 死んでしまうことに比べたら、痴漢容疑で捕まることくらいどうってことない気もするが、実際に痴漢の疑いを掛けられた場合、その恐怖は想像以上だ。

 痴漢の容疑を掛けられた場合、どんな目に遭うかについて、リアルな“刑事手続き”を知らない読者がほとんどだろう。

 痴漢の疑いを掛けられ、写真撮影や指紋採取までされたことがある筆者が、今回、被害者に手首を掴まれた後、具体的にどんな手順で刑事手続きが進むのか紹介する。これは筆者の体験に基づく事実である。本稿では、ただ事実を淡々と説明するにとどまる。法的なアドバイスについては専門家の意見を参考にしていただきたい。

痴漢冤罪はある日突然に!

 痴漢事件というのは、多くの場合ラッシュアワーで混雑する公共交通機関で発生する。特に多いのが電車内だ。痴漢に遭ってブチ切れた被害者は、被疑者と思われる相手の手首を掴むなどして「次の駅で降りてください!」と迫ってくる。

 これが間違いなく痴漢をやった犯人であれば問題はないのだが、最近の痴漢は、自分が直接疑われないように、被害者と自分の間に“スケープゴート”になる人を挟んだりするなど手口も巧妙化している

駅員室に行くと、どうなる?

 痴漢の疑いを掛けられた場合の対処法について、「駅員室には行くな」という意見がよく出る。たしかに痴漢の疑いを掛けられ、電車から降ろされると、駅員は被害者と、痴漢の疑いがある人を駅員室に連れて行こうとする。

 駅員室に行くと、痴漢の容疑の疑いがある人は、被害者とは隔離され、駅員は警察を呼ぶ。駅員にとって、駅構内のトラブルを収めることは業務のひとつだが、刑事事件が発生した以上、後のことは全部警察に丸投げするというのはよくあるスタンスだ。

 また、2つ目のよくある対処法として、名刺などを渡して身分を明かし、その場から堂々と立ち去るという方法もある。しかし、これの成功率はそれほど高くなく、被害者や駅員の強引な誘導によって、駅員室まで連れ込まれてしまうことがほとんどだ。

突然、制服の警察官が登場!

 そうして駅員室に連れて行かれたとき、駅員は「別々に事情を聞くから…」と言い、まず被害者と被疑者を完全に引き離す。おそらく裁判の公判まで、2度と会うことはないだろう(幸運にも起訴されなったら、本当にもう2度と会うことはない)。

 そして、初動として最寄の交番や派出所から制服警官がやってくる。警察官は通常2人で来て、被害者と被疑者に対して、とりあえず駅員室で話を聞いてくる。

「お宅、痴漢したわけ?」

 あくまでも私見だが、痴漢の疑いを掛けられた人に対して、警察官は最初から疑いの眼差しを向け、不信感いっぱいで聞いてくる。

「いえ!やってません!」

 なんて、いくら訴えてもほとんど効果はない。

最寄の警察署に連行される!

 そうこうしている内に、最寄の警察署からも警察官が到着する。この場合、私服刑事が来るか、警察署の制服警官が来るかはケース・バイ・ケースだ。すでに現着していた警察官から、事情を聞くと、署から来た警察官は、

「まぁ、詳しい話は署で聞くから、一緒に来て」

 と、痴漢容疑を掛けられている人を、そのまま駅前に止めてある警察車両(普通はパトカー)に乗せ、警察署まで連行してしまうのである。その後、釈放されるまで外部と直接連絡を取る方法はない。

警察署ではすぐに取調べ

 警察署まで連行されると、すぐに取調室に入れられ、早速、取調べが始まってしまう。この段階になると、その立場は完全に痴漢の容疑を掛けられた“被疑者”だ。

 警察の取調室といえば、映画やTVドラマでよく描かれる場面だが、同じなのは狭苦しい点くらいで、机の上にスタンドライトはない。また、調書を手書きでは書かないので、ノートPCとコンパクトプリンタが机の上に置いてある。罪状否認をしている場合、言葉遣いこそ乱暴だが、ドラマのように胸倉を掴んで「キサマが、やったんだろぉ!?」などと恫喝をされることもない。

 最初の取調べでは、

弁解録取書
・身上経歴調書

 という2種類の供述調書を作るのが基本だ。弁解録取書というのは、事件に関する被疑者の“言い訳”のようなもので、掛けられている容疑に対して、その罪を認めるか、否認するかという被疑者の立場を調書で明らかにするのである。

 一方、身上経歴調書は、被疑者自身の生い立ちや学歴、あるいは職歴などを調書にするものだ。このふたつの調書を作ったところで、最初の取調べが一段落するのが普通である。弁解録取書も身上経歴調書も、一般的には“供述調書”と呼ばれる書類で、取調べにあたる担当捜査官(普通は私服刑事)がPCを使って作成する。

 PCで作る書類なので、他の場所で改ざんできてしまう可能性がある。そこで手続き的にはその場に置いてあるコンパクトプリンタですぐにプリントアウトし、その内容に間違いがないかを被疑者自身がチェックすることになっている。そして、内容に間違いや不服がなければ、被疑者は調書の末尾にサインをし、差し替えができないよう、各ページの隅に指印を押すのである。

 そのため、容疑を否認している被疑者でも、犯罪を犯しているような調書にサインをしてしまうと、同意したことになる。調書はしっかり読んでチェックしておくに越したことはない。

 次回は指紋採取、そして留置所とはどんなところなのかをお届けします。

<文/ごとうさとき>

【ごとうさとき】
フリーライター。’12年にある事件に巻き込まれ、逮捕されるが何とか不起訴となって釈放される。釈放後あらためて刑事手続を勉強し、取材・調査も行う。著書『逮捕されたらこうなります!』、『痴漢に間違われたらこうなります!』(ともに自由国民社 監修者・弁護士/坂根真也)が発売中

 

相次ぐサラリーマンの線路逃走。冤罪回避のためでもその代償は甚大!

2017年04月17日 ニュースhttps://hbol.jp/136706

 

 電車の中で痴漢の疑いをかけられた男性が、駅についた途端に走り出し、そのまま線路内に侵入して逃走するという事件が相次いでいる。3月29日はJR赤羽線のホームで、4月7日にはJR板橋駅、13日にはJR両国駅でそれぞれ発生した。

線路を逃走するとどうなる?

 確かに痴漢の疑いをかけられた場合、いくら無罪を主張しても被害者は耳を貸さず、駅員を呼ばれてしまう。そして、駅員はすぐに警察を呼んで、呼ばれた警察も被害者の言い分だけを信じて、痴漢容疑で逮捕されてしまうのが、みなさんご存知の痴漢冤罪事件の実態である。

 そんなリアル現場をよく知っている弁護士の中には、

「痴漢に疑われたら、言い訳は通用しないから、サッサと逃げた方がいい」

 というアドバイスをする人もおり、“痴漢に疑われたらダッシュで逃げろ!”という対処法を信じて、ホントに逃亡を図る男性が続出しているのである。

 ただ、実際に痴漢事件が発生するのは朝夕のラッシュ時間で、ダッシュで逃げようとしても、駅のホームは人で溢れかえっており、人ごみを掻き分けながらの逃走は相当困難なモノになる。

 そこで、追い詰められた男性は線路に飛び降り、命がけの逃走をするわけだ。それで逃げ切れれば、一応、痴漢容疑で逮捕という汚名からは免れるかもしれない。しかし、線路内に侵入した時点で、痴漢容疑ではない、別の犯罪の現行犯となってしまうのである。

線路内への侵入は「鉄道営業法」違反

 電車の線路内に侵入する行為というと、1月にタレントの松本伊代早見優が、線路に侵入した写真をブログにアップしたことで騒ぎになった。この騒ぎを起こした彼女たちの容疑は「鉄道営業法違反」である。

 鉄道営業法の第37条は「停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス」となっている。

 この法律は明治33年に作られたものなので、現代風にわかりやすく言えば、停車場や鉄道の敷地内に勝手に入った者は「10円以下の科料(罰金刑の軽いヤツ)にするよ」という意味である。この“10円”という科料額も当時の貨幣価値であり、現在でいう科料は“1万円未満”の金額となっている。

 つまり線路に侵入した時に問われる罪は、1万円未満の科料で済む可能性があるわけだ。また、彼女らが、この件で逮捕されたという話も聞かないので(実際に逮捕はされていない)、身柄拘束のない書類送検だけで済む可能性もあるということである。しかし、

「そんな罪で済むのなら、痴漢に間違われ時は線路に飛び降りて逃げればいい!」

 と考えてはいけない。彼女たちがそんな軽い罪で済んだのは、彼女たちがただ線路の中に入っただけで、電車を止めたりしてダイヤを混乱させるような事態を引き起こしていないからだ。

ダイヤ混乱で更に重い刑罰と賠償金が!

 痴漢の疑いをかけられて線路に飛び降りて逃亡する事件では、ほとんどのケースで電車は運転を見合わせ、ダイヤが大幅に乱れてしまう。こんな大迷惑を引き起こした場合、原因を作った本人には、鉄道営業法違反ではなく「往来危険罪」(刑法125条)が適用される可能性が出てくる。

 往来危険罪というのは線路や標識を壊したり、その他の方法で電車の安全な運行を妨げる行為をした場合、適用される罪だ。痴漢容疑から逃れるために線路内に侵入する際、線路や標識を破壊しなくても、電車の安全な運行を妨げる行為は“その他の方法”とみなされる場合がある。

 この往来危険罪が適用された場合、考えられる刑事罰

“2年以上の有期懲役”

 である。罰金刑はないので起訴されて有罪判決をくらえば、刑務所行きだ。初犯でいきなり実刑判決が下るのは、判決ペースで3年以上の懲役になるようなケースである。ただ2年以上の有期懲役というのは、最悪、有期刑の上限20年が下される可能性もゼロではないという意味で、線路内に逃走した挙句、列車のダイヤを大混乱に陥れた場合、結構な厳罰が下される可能性もあるのだ。

 その上、列車を止めてしまった場合、本人に科せられるのは刑事罰だけではない。電車の運行に支障が出たことによって、鉄道会社が被る損害を賠償させられるのである。いわゆる損害賠償の民事訴訟というヤツだ。その請求額は、電車が止まった時間や本数、あるいは路線など条件によって数十万円から数億円と幅が広く一概に相場は決められない。とはいえ、ラッシュ時に電車を止めてしまったら、数十万円で済むことはあり得ないだろう。

 確かに痴漢冤罪は本人の努力だけでは逃れられない災難だ。しかしそれを避けるために別の罪を犯してはならない。ましてや線路に飛び降りて逃げるなど論外の行為なのだ。

【ごとうさとき】
フリーライター。’12年にある事件に巻き込まれ、逮捕されるが何とか不起訴となって釈放される。釈放後あらためて刑事手続を勉強し、取材・調査も行う。著書『逮捕されたらこうなります!』、『痴漢に間違われたらこうなります!』(ともに自由国民社 監修者・弁護士/坂根真也)が発売中